映像学会研究会

一人目は特撮におけるアトラクション性について、二人目は小津の『東京の女』における主人公の女性像をめぐる発表。

前者は自身の研究対象に近いこともあり、社会学寄りの文献もいろいろと知ることができたので聞けてよかった。アトラクション/物語、客体化/同一化を軸にした四象限で、特撮の受容のしかたが整理できていた反面、図式化したぶんアトラクション/物語という二項設定からの脱出という目的はあまり達成できていないように感じた。ただ自分も同じようなところで悩んでいるので、そことどう付きあうのかは特殊効果論にとって避けられない課題だということを再認識した。

特撮の仕組み自体への関心については、初期映画については少なからず研究が進んでいるので、環境の違いもふくめて比較できそう。特撮においては、テレビで毎週放送されるようになったことが、そうした受容の仕方にとって重要だったというのは勉強になりました。

後者については、質疑でもあがっていたように、前提の前提がないので発表者の意図が汲みにくかった。膨大な小津研究の蓄積に対して発表者がどう距離をとっているのか、それで何がいえるのかということがみえないと、小津ってすごいでしょで終わるし、まあそりゃすごいよねという感じ。女性像を扱うのに政治的な問題が捨象されているのも気になった。それと単純に、発表時間の調整なのかもしれませんが、映像を最後に流すなら素直に分析のセクションで流せばいいのでは…。